以前スウェーデンの東アジア博物館所蔵の自在置物について紹介したが、同じく北欧のノルウェー国立美術館オンラインコレクションでも自在置物がいくつか公開されている。同館は2022年に北欧最大級の美術館としてオスロにリニューアルオープンしたという(https://www.norway.no/ja/japan/norway-japan/news-events/news/33/)。 確認できる自在置物は以下のとおりである。...
明治天皇が自在置物に興味を惹かれていたことを記した、沢田撫松編『明治大帝』(帝国軍人教育会...
平凡社『太陽』1984年1月号に、冨木宗行氏の父で高瀬好山工房の工人であった「宗好」を紹介する記事が掲載されている。「京の手わざ」と題されたその記事は、文・松本章男、写真・石元泰博によるもので、この号から新連載となっている。1983年10月の東京国立博物館の特別展「日本の金工」で初めて自在置物が紹介されてから間もない頃で、まだ自在置物や高瀬好山については現在ほど知られていなかったと考えられる。しかし、京都に生まれた松本章男は、高校時代の正月に見た、友人の家に飾られていた富木宗好氏の伊勢海老のことを鮮明に憶えていたのだという。 冨木宗好氏は、幼少時に父が早世したため高瀬好山のもとで育った。記事では、好山の作品を朴炭で研ぎ続ける毎日だったという少年時代のエピソードなども紹介されている。2016年「驚きの明治工藝」展図録には冨木宗行氏へのインタビューが掲載されているが、それと並んで冨木家の工人の姿を伝える貴重なものといえるだろう。 石元泰博による写真には、金象嵌の赤銅製の蝶、銀製伊勢海老の自在置物、宗好氏の手を大きく写したものもある。高知県立美術館には石元作品のアーカイブ活動を行う石元泰博フォトセンターが存在するので、こうした写真も何らかの形で展示される日が来るかもしれない。 「京の手わざ」の連載は1988年に學藝書林『京の手わざ―匠たちの絵模様』として単行本になっており、この記事も連載時と同じくカラー写真とともに収録されている。
明治25年(1892)開催の京都市美術工芸品展覧会に「銕製蟹置物」が出品されていたことが『京都市美術工芸品展覧会審査報告』(博覧協会 明治25年)で確認できる。出品人は「富木治三郎」となっているが、鉄製の蟹の置物であることから、これは高瀬好山工房の工人冨木一門で宗信と称した冨木次三郎であろう。出品作も自在置物であったと考えられる。...
高瀬好山のカモメをモチーフとした釣香炉の作品が、小冊子『京都の工藝』に掲載されている。この小冊子はその序文から「京都工藝品見本市協會」により、「京都工藝品宣傳即賣大會」の目録として昭和6(1931)年に作成されたとみられる。 「京都府、市、會議所後援 京都工藝品宣傳即賣大會を開くにあたりて」と題した序文には、以下のような記述がある。...
スウェーデンの民族学博物館 Etnografiska Museet 所蔵の蛇の自在置物。銘があった可能性が高い下顎が欠損しており、作者はわからないようだが、作風から高瀬好山の工房作と思われる。
以前に「高瀬好山傳」についての記事で好山のパリ万国装飾美術工芸博覧会への出品にも少し触れましたが、1929年開催の巴里日本美術展覧会、1930年のリエージュ産業科学万国博覧会への出品も確認できました。「明治期自在置物の博覧会等出品年表」と重なる部分もありますが、この項では自在置物に限定せず、それらの高瀬好山の博覧会や美術展覧会への出品についてまとめ、新たに確認できたものは随時追加していきます。 (Last updated: 21 Jan. 2019)
27日 9月 2017
前回記事に引き続き、三井記念美術館「驚異の超絶技巧! -明治工芸から現代アートへ」展についてです。今回は出品されている自在置物について、さらに踏み込んで見てみましょう。
23日 9月 2017
先日、三井記念美術館で開催中の特別展「驚異の超絶技巧! -明治工芸から現代アートへ」のブロガー内覧会(写真撮影可)に参加してきました。