明治25年(1892)開催の京都市美術工芸品展覧会に「銕製蟹置物」が出品されていたことが『京都市美術工芸品展覧会審査報告』(博覧協会 明治25年)で確認できる。出品人は「富木治三郎」となっているが、鉄製の蟹の置物であることから、これは高瀬好山工房の工人冨木一門で宗信と称した冨木次三郎であろう。出品作も自在置物であったと考えられる。...
高瀬好山のカモメをモチーフとした釣香炉の作品が、小冊子『京都の工藝』に掲載されている。この小冊子はその序文から「京都工藝品見本市協會」により、「京都工藝品宣傳即賣大會」の目録として昭和6(1931)年に作成されたとみられる。 「京都府、市、會議所後援 京都工藝品宣傳即賣大會を開くにあたりて」と題した序文には、以下のような記述がある。...
スウェーデンの民族学博物館 Etnografiska Museet 所蔵の蛇の自在置物。銘があった可能性が高い下顎が欠損しており、作者はわからないようだが、作風から高瀬好山の工房作と思われる。
以前に「高瀬好山傳」についての記事で好山のパリ万国装飾美術工芸博覧会への出品にも少し触れましたが、1929年開催の巴里日本美術展覧会、1930年のリエージュ産業科学万国博覧会への出品も確認できました。「明治期自在置物の博覧会等出品年表」と重なる部分もありますが、この項では自在置物に限定せず、それらの高瀬好山の博覧会や美術展覧会への出品についてまとめ、新たに確認できたものは随時追加していきます。 (Last updated: 21 Jan. 2019)
27日 9月 2017
前回記事に引き続き、三井記念美術館「驚異の超絶技巧! -明治工芸から現代アートへ」展についてです。今回は出品されている自在置物について、さらに踏み込んで見てみましょう。
23日 9月 2017
先日、三井記念美術館で開催中の特別展「驚異の超絶技巧! -明治工芸から現代アートへ」のブロガー内覧会(写真撮影可)に参加してきました。
現在所持している大正から昭和初期にかけての売立目録に掲載の自在置物を Flickrにアップしました。高瀬好山の昆虫のセットは国内でもかなり販売されていたものと推測できます。キャプションなどはこれから整えていきます。 売立目録もデジタル化が進められているようなので、自在置物についても発見が期待できそうです。
24日 9月 2016
東京藝術大学大学美術館「驚きの明治工藝」展には高瀬好山の珍しい作品も出品されていました。自在置物で知られる高瀬好山ですが、この二つの作品は可動部分があるとしても「瓦上の雀置物」は羽の一部、「鳳凰」は首などに限られるのではないかと思います。...
09日 9月 2016
東京藝術大学大学美術館で9月7日から開催の「驚きの明治工藝」展を見てきました。 同展には台湾のコレクター宋培安氏のコレクションから130点あまり出品されています。このコレクションは数年前に存在を知ったときから見てみたいと思っていたのですが、こんなに早く日本での本格的な展覧会で目にする機会が訪れたことは望外の喜びでした。...