ロンドンの山中商会により、英国の収集家から貸し出された作品による日本の美術品及び手工芸品の展示会が1915年に開催されている。この展示会は英国赤十字社と聖ヨハネ騎士団の援助を受けたもので、そのカタログ Catalogue of the loan exhibition of Japanese works of art and handicraft from English collections, held from October 14th to November 13th, London, Yamanaka & Co., 1915 の序文からも第一次大戦の影響が背景にあることがうかがえる。
カタログには高石重義の鉄製の鶉の香炉 (Koro, iron, a quail with gold eyes, signed Takaishi Shigeyoshi)の出品が確認できる(p.162)。高石重義の在銘作品で知られているものはボストン美術館の龍の自在置物のみであるため、貴重な記録といえる。
自在置物については、"Miochin Kiyoharu" の龍、"Kiyoaki" の鯉、"Munemasa" の蛇、"MIyochin Muneharu" の3メートルの大きさの蛇が出品されている(p.162)。
"KIyoaki" の鯉は大英博物館に「清明」銘のものが所蔵されているが、大きさの違いから(カタログ掲載のものは36cm、大英博物館のものは55cm)同一作品ではないとみられる。
"MIyochin Muneharu" の3メートルの蛇は「天正二年」と記されているとあるが、最近 Sotheby's オークションに、同じく「天正二年」と記された同様の大きさの明珍宗春銘の蛇が出品されている。その稀な大きさからも、カタログに掲載された作品である可能性が考えられるだろう。
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