長いことかかっていた銀製の自在龍がやっと完成しました。
最小の龍の自在置物といわれている明珍吉久作のものの半分ほどの大きさ。爪、指、耳、顎、舌なども動きます。
銀製の龍自在置物というと東京国立博物館蔵の里見重義作のものが有名です。
今回の龍の制作に際しても大変参考になりました。
「自在置物」という名称はこの龍の箱書に「自在龍」とあったことに由来しています。
里見重義は経歴不明とのことでしたが、大正7年の「東京帝室博物館美術工芸部目録 第1区 金属品」に略歴が見られます。
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/936376/94
天保14年生まれで海野勝珉とほぼ同年とわかります。師に就かずに彫金工となったそうでやはり一風変わっていたのかもしれません。この目録が出た頃も存命で浅草に住んでいたようです。
明治以降の自在置物の作者で高瀬好山工房の工人、板尾新次郎以外で経歴がわかるのは貴重な例と言えそうです。
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